院内勉強会【CRVOに対する抗VEGF治療】


2018年11月7日(水)、バイエル薬品株式会社さんによる【CRVOに対する抗VEGF治療】の勉強会がありました。

RVO(網膜静脈閉塞症)とは...

網膜動静脈交差部で網膜静脈の分枝が閉塞する網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)と、視神経内で網膜静脈が閉塞する網膜中心静脈閉塞症(CRVO)の二つに分類されます。
BRVOでは閉塞静脈よりも遠位側に、CRVOでは網膜の全域あるいは大部分に出血が広がります。なお、RVOでは、主に黄斑浮腫を合併した場合に視力低下が認められます。

網膜静脈閉塞症とは

 

RVOによる黄斑浮腫の発生について

閉塞した静脈の内圧は上昇し、血管壁から血液や滲出液が網膜内に貯留します。また、血流量が低下して網膜が虚血、低酸素状態に陥るとVEGFなどのサイトカインが過剰に産生されます。過剰なVEGFにより血管の透過性が亢進し浮腫が生じるとともに、新生血管が生じることがあります。

 

治療が遅れてしまうと...

虚血型CRVOでは前眼部(虹彩や隅角)に血管新生が生じ、進展すると血管新生緑内障に至る危険性があり、非常に予後が不良です。
RVOでは、出血や浮腫により視力低下や視野欠損、変視症などを自覚しますが、出血や浮腫が消失すると自覚症状は軽減します。しかし浮腫は繰り返し発生することが多く、長期間持続すると細胞の不可逆的な変化により症状が悪化し、視力など視機能の改善は期待できないことが多くなります。

「RVOの病態」の画像検索結果

治療法について

循環障害、黄斑浮腫、あるいは血管新生が治療対象となり、これらの改善あるいは予防により、視力の改善・安定化を目的に治療が行われます。
黄斑浮腫に対しては、無作為化比較対照試験により有効性が証明されているVEGF阻害薬の硝子体内投与が主流となっています。
RVOに伴う黄斑浮腫の主な原因はVEGFの過剰産生と考えられ、VEGFとVEGF受容体の結合を阻害するVEGF阻害薬により、黄斑浮腫と黄斑浮腫による視力低下の改善が期待できます。ただし、現在使用されているVEGF阻害剤はVEGFの産生は阻害しないので、VEGFが過剰に産生される限り、継続的な投与が必要と考えられます。
また、血管新生に対しては予防もしくは治療目的として、汎網膜光凝固もしくは周辺部光凝固などのレーザー治療が行われます。

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試験概要と結果について

CRVOに伴う黄斑浮腫の治療において、アイリーア(アフリベルセプト)およびルセンティス(ラニビズマブ)の投与回数を比較検討。

対象
CRVOに伴う黄斑浮腫を有する18歳超の未治療患者45例(期間:18ヵ月間)

結果
アイリーアの平均投与間隔は10.0週であり、ラニビズマブ群に比べて有意に長かった。
アイリーアの平均投与回数は10.9回であり、ラニビズマブ群に比べて有意に少なかった。
最高矯正視力文字数の変化量は有意な差は認められなかった。

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現在、網膜静脈閉塞症の他にも、加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、近視性脈絡膜新生血管症などの病気に対しても効果があることがわかり、治療対象となる患者さまの数が増えてきています。
しかし、進行具合によっては複数回実施後にようやく効果が出てくる場合や、いったんは病気の進行が落ち着いて治療を中止できてもしばらくして再発される方もいます。
治療効果が出ていても、患者さまの視力や自覚症状は改善しにくいこともあります。
長期にわたって視力を維持するためにも、抗VEGF薬投与により病気をコントロールしながら、根気強く治療し、視機能の維持を目指すことが重要です。

大切な患者さまのために...
日常生活に支障が出ないように、また残存機能を有効に活かすために継続的な治療を前向きに一緒に考えていきたいとおもいます。
治療で悩んでいる方、不安な方はお気軽に声をかけてください。

看護師 M